名人への軌跡

自戦記13局、棋譜解説45局、全58局、早くも刊行された新名人の対局棋譜集です。豊島将之名人と言えば、流行語？にもなった「序盤中盤終盤、隙がないよね！」の通り、抜群の読みと大局観で一気に3冠奪取して、現在は第一人者と言える若武者と言うイメージですが、それまではタイトル挑戦も中々取れなかった苦労人でもあります。この名人奪取を機に本書が刊行された訳ですが、棋譜集としてはオーソドックスで、勿論佐藤天彦元名人との挑戦手合がある他、藤井聡太七段との千日手打ち直し局あり、桐山清澄師匠との恩返し局ありとバラエティに富んでいて大変良いです。しかし僅かに不満あります。全58局はこの値段にしては少し高い気がします。他の棋譜集を比べても最低でも80局は欲しいところです。藤井聡太七段の棋譜集もそう言う傾向があり、人気者はボリュームを減らしても売れると考えられてるのかも。それと好みにもよりますが、コラムの類いが全く無いことです。パーソナルデータまでは必要無いですが、やはり将棋棋士も人気商売ですから豊島名人の人となり紹介する方が硬苦しい棋譜集も少しでも柔らかくなるので良いと思います。次の企画される棋譜集は、その点考慮して頂ければと思います。