分析哲学講義 (ちくま新書)

日本ではあまり馴染みのない、分析哲学について、ラッセルやクワインらの分析を紹介しながら、その全体像を紹介している。青山は、分析哲学の特徴について、言葉の働きの解明を通じてさまざまな問題に答えようとすること、と定義している。そして、意味はどのように伝わるか、名前と述語の関係、文章と文脈の関係、言葉が流通する場所とは何か、などの問題をわかりやすく”分析”している。わかりやすく、と書いているが、分析哲学初心者の私には、正直、わかりにくい、部分もあった。それは、普段、言葉を使うということについて、そこまで深く考えていなかった、ということでもあるのだろう。巻末には、さらに深く知りたい人向けのガイドもあり、親切な入門書になっている。しかし、分析哲学は、（青山も書いているが）、言語学や脳科学、科学思想（哲学）などと重なる部分も多い。かつては、学問の王であった哲学も、こんな小さな領域にまで追いつめられてしまったのか、とも感じた。